これまでもIBM iのクラウドサービスはIBMビジネスパートナー各社から提供されているが、2019年にIBMからもIBM i、AIXのクラウドサービスとして「IBM Power Systems Virtual Server」(以下、Power バーチャルサーバー)が発表された。
2020年1月時点での提供データセンターは米国、欧州に限られており、日本のデータセンターでのサービス提供開始は公式発表されていない。
Powerバーチャルサーバーの主な構成は、図表1のとおりである。
基本的にはLPAR上のIBM i、AIXパーティションを月額単位で利用する形態で、OSから上位層をユーザー側でセルフマネージする。ハードウェア、ハイパーバイザー層はIBMの管理となる(HMCなどはユーザーから操作できない)。
オンプレミス構成との代表的な違いとしては、テープバックアップがないため、別途クラウド上のストレージにバックアップを作成する必要がある点などが挙げられる。
他のクラウドサービスと比較したIBM Cloudの優れた特徴として、世界中のデータセンター間を接続している高速バックボーン回線を無償利用できる、ネットワークを含む応答時間の品質が高く安定している、多様なベアメタルサーバーが利用可能である点などが挙げられる。これらのメリットは、Power バーチャルサーバーでも同様に享受できる。
著者|
佐々木 幹雄
日本アイ・ビー・エム株式会社
システム事業本部 Power Systemsテクニカル・サポート
コンサルタントITスペシャリスト
システム事業本部 Power Systemsテクニカル・サポート
コンサルタントITスペシャリスト
AS/400誕生とほぼ同時期からIT業界に関わる。IBM i やPC、ネットワーク機器など一般企業のIT基盤の提案・構築、アーキテクトなどを幅広く経験。IBM i エバンジェリストとしての活動もある。
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特集|IBM iのマイクロサービス化
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Column 1 OpenShiftかKubernetesか
Column 2 どこでもKubernetes
Column 3 ミドルウェアのコンテナ化対応
Column 4 SCNは戦略策定のためのフレームワーク
Column 5 ハイブリッドクラウド移行(中期)計画を作る
Column 6 アジャイルはSoEだけのものか?
Column 7 IBM iサービスとDb2 for iサービス
Column 8 IBM iのクラウドサービス
Column 9 コンテナテクノロジーを導入しても、イノベーションは起きない
[i Magazine 2020 Spring掲載]